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2009年8月15日

夕顔

Photo  お盆期間中の昨日、知人から思わぬ頂き物をした。
 冬瓜、ゆうきの住む地方では”夕顔”と呼ぶ。巻き寿司に使う干瓢の原料だ。
 ゆうきのおじいちゃん(母方の)は、生粋の農家生まれで、晩年まで畑仕事を生きがいにしていた。毎日、朝早くから夕方暗くなるまで畑を耕し、作物の世話をしていた。時々、ゆうきの家では栽培していない野菜を届けてくれた。七十代、八十代の頃は、自転車に背負い籠姿で、九十歳を過ぎ自転車をこぐことが不可能になると、自転車を手押し車代わりにして。夕顔は、おじいちゃんが届けてくれる野菜の代表格だった。
 ゆうきの家では、夕顔を味噌汁の具にしていた。夕顔を切って皮をむき、種を取って、食べやすい薄さ大きさに切って、沸騰した湯の中に入れ味噌を溶かし込む。淡白で癖がなくて、当時、味噌汁そのものがあまり好きではなかったゆうきも、夕顔の味噌汁だけは別だった。
 早速、今日、夕食に味噌汁を作った。あの頃と同じ手順で。出来上がった味噌汁を味見してみた。おじいちゃんが作った夕顔ではないのに、おじいちゃんのものと同じ味がした。ジーンとしてちょっと視界がぼやけた。食べ物で涙ぐんでしまうなんていつ以来だろう。小さな頃、庭におじいちゃんの自転車が止まっていると嬉しくなり、「ただいま~。」の声がいつもより弾んだ。ゆうきの高校合格を一番に喜んで、「おめでとう」の電話をくれた。ゆうきの花嫁姿に目を細め、やがて誕生したひ孫を恐る恐る抱いた。夕顔を噛み締めた。すぐ近くにおじいちゃんの気配を感じた・・・。
 

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日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

コメント

働き者のおじい様だったのですね。
おじい様との事を思い出し喜んで
居るんじゃないでしょうか。

投稿: ぷぅおやじ | 2009年8月15日 21時05分

 ゆうきさん、素敵な想い出ですね
うらやましいです~

夕顔の味噌汁は戴いたことがありませんが、干瓢はこのへんでもまだ作られていて、漂白のされていないやわらかいものを戴くことができます

食べ物で涙ぐむなんてとてもやさしい、素敵な思い出です


 

投稿: もえぎ | 2009年8月15日 21時14分

うちでは 冬瓜はあんかけにして 冷やして食べてます
この時期はさっぱりとおいしいですよね

お達者な おじいちゃんですね
やはり 人間は 歳をとっても 
しっかり働いてられるのが 一番で 素適なことだと思います

おじいちゃんの思い出大切にしてください 

投稿: ドリームママ | 2009年8月15日 21時49分

ひ孫を抱けたなんておじいちゃん
嬉しかったと思いますよ。

すてきなおじいちゃんの思い出が
夕顔をとともに現れる。

なんかとてもすてきだな~。

おじいちゃんはいつまでもゆうきさんの中で生き続けてるんですね。

投稿: patapataokan | 2009年8月15日 21時50分

おじいさまとっても幸せでしたね。そしてゆうきさんも・・・私は祖父が2人とも早くなくなってしまったのであまり祖父との思い出がありませんが祖母との思い出は目をつぶると想い出されます。夕顔を見ると私も幼いころの祖父のことを思い出しそうです・・・消えそうな思い出・・・でもよみがえりそうです!

投稿: CHISATO | 2009年8月15日 22時11分

読んでて、私もなんだか鼻の奥がツーンとしちゃいましたよ!

よく、心臓にも記憶があるとかいう話しがありますけど、舌や、体の至る所に記憶ってあるんでしょうね^^

私もおじいちゃんが大好きでした。
小学生の時に亡くなってしまったので
息子を抱いてもらうことはありませんでしたが、きっと天国から見ててくれると思ってます^^

投稿: Vanilla beans | 2009年8月15日 22時35分

ぶぅおやじさま

はい、働き者として有名な祖父でした。
結婚してから、母の実家へは
ほとんど足を運んでいなかったのですが
久しぶりに思い出すことができて
とても嬉しかったです。

投稿: ゆうき | 2009年8月16日 20時44分

おじいさんとの良い懐かしい思い出があり
うらやましいです。
私は、父方、母方も私が生まれる時には既に祖父は他界してたので
祖父の存在を知らないで過ごしました。
冬瓜はこちらはかつおだしのあっさりだしで
煮浸しで食べます^^
味噌汁に入れると良いのか~初めて知りました^^
具は冬瓜だけですか?うすあげなど入れるのかな?

投稿: ふぃる | 2009年8月16日 20時49分

 こんばんは。
私にとって祖父は写真でしか会ったことのない存在です。
私達の祖父世代は、戦地へ赴いたまま、帰れなかった人達が多かったんですよね。私の祖父もそうでした。
仏壇の写真の祖父は、軍服を着て、それでも少しだけ微笑んだ顔で、子どもだった私の目には穏やかな人だと映りました。
実際、とても優しい人だったそうです。
孫はおろか、娘(私の母)さえもたった一度きりしか抱くことが出来なかったとか。
あの頃は、そんな人が沢山いたのでしょうね。
おじいさんとの思い出があるゆうきさんがとてもうらやましいです。

祖母が私の娘を抱いたときのなんともいえない表情は、今でもはっきり覚えています。
祖父も祖母の手を借りて、娘を抱いてくれたかな?と勝手に思った私です。
ゆうきさんのおじい様の話、これからも聞かせてくださいね。

投稿: えぐham | 2009年8月16日 20時54分

もえぎさま

夕顔を頂いたことで久しぶりに祖父の
事を思い出すことができてとても
嬉しかったです。

私は、夕顔は食べたことがあるのですが
干瓢は調理済みのものしか食べたことが
ありません。漂白されていない柔らかい
干瓢を食べてみたいです。

お線香をあげに行かない私に、祖父が
わざわざ会いに来てくれたのかな。

投稿: ゆうき | 2009年8月16日 20時54分

ドリームママさま

冬瓜のあんかけ、美味しそうですね。
私も作ってみようかな。

味噌汁の他にもインゲンと一緒に煮込んだりもします。熱々でも、冷たくしても美味しいです。

最後の最後まで畑で働き通しました。そんな祖父を私は尊敬します。

投稿: ゆうき | 2009年8月16日 21時14分

okanさま

4人いる祖父母の中で、ひ孫を抱けたのは、おじいちゃんだけです。

愛おしそうに、大事そうに微笑んだ顔が
今でも忘れられません。

娘もおぼろげながらも、曾爺ちゃんを覚えているそうです。

私の中でも娘の中でも祖父は生きているのだと思います。

投稿: ゆうき | 2009年8月16日 21時19分

CHISATOさま

頂いた夕顔を食べて、忘れかけていた思いがいっきに甦ってきました。
祖父のことを思い出して心がとても温かくなりました。
残りの夕顔も大事に食べようと思います。

投稿: ゆうき | 2009年8月16日 21時27分

Vanilla beans さま

記憶って、脳にだけでなく、鼻にも舌にも体のいたるところに残るということを改めて実感しました。

残念ながら、娘のランドセル姿を見ずに亡くなってしまいましたが、きっと天国から見守ってくれていることと思います。

投稿: ゆうき | 2009年8月16日 21時34分

ふぃるさま

日々の生活に追われて、思い出すことがなかった祖父のことを夕顔をきっかけに思い出すことが出来て本当によかったです。

冬瓜の煮浸しも美味しそうですね。

味噌汁は、冬瓜だけのものも美味しいですが
薄揚げを入れると更に美味しくいただけます。

投稿: ゆうき | 2009年8月16日 23時43分

干瓢なんですか?
あら これが。
初めて見たかもしれません。
想い出の味なんですね。

投稿: まーち | 2009年8月16日 23時49分

えぐhamさま

私の祖父にも赤紙(召集令状)が来たそうです。しかし、出征するために歯の治療をしている最中に終戦を迎えたそうです。そういう意味でも運がよかったのかもしれません。

私がこの話を聞いたのは小学生の頃、表現しがたい悲しみが幼心を襲い、祖父のことがそれまで以上に愛おしい存在となりました。

今頃、天国で、孫たちの話に花を咲かせていることと思います。

投稿: ゆうき | 2009年8月17日 00時33分

おじいちゃんのこと大好きだったんですね。
うちでは、油とみりんとしょうゆで
炒め煮かな?
私も好きですよ。夕顔。

おじいちゃん、後ろにきてますよ。
優しい笑顔で、見守ってる。
だから、味噌汁で思い出したんですね。
よかったですね!!

投稿: ゆっきー | 2009年8月17日 15時46分

まーちさま

私も、かなり大きくなるまで、夕顔が干瓢の原料であることを知りませんでした。
どんな食べ物にも原料があるとはいえ、こんな大きな野菜がお寿司の具である干瓢になるなんてなんだか信じられません。

投稿: ゆうき | 2009年8月17日 19時13分

ゆっきーさま

はい、素朴で優しい祖父がずっと大好きでした。

夕顔の炒め煮、美味しそうですね。
地域によって色々な食べ方があって
とても興味深いです。


夕顔の味噌汁を食べ、祖父のことを思い出し、見守られているのだということを、肌で感じました。

投稿: ゆうき | 2009年8月17日 19時17分


夕顔って懐かしいなぁ。
私の実家は信州なんですが一抱えもあるでっかい夕顔、昔父親が育てて母親が味噌汁を作ってくれました。今ではそれを女房が継いで作ります。
さすがに大きいのは食べきれないから市販のちっちゃいのですけどね…♪

投稿: 銀四郎 | 2009年8月19日 08時34分

銀四郎さま

夕顔を料理したのは、久しぶりのことです。
大きくて食べきれないので、実家や友人たちにおすそ分けしました。
夕顔の味噌汁は意外と一般的なんですね。

投稿: ゆうき | 2009年8月19日 18時41分

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