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2010年5月

2010年5月31日

完食

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 見事に空っぽ

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今日の夕食 肉じゃが

 お正月に米袋いっぱいに貰ったジャガイモをようやく食べ終えた。汁物に煮物、サラダに揚げ物と大体、一日に一個の割合で消費してきた。根が出ないようにと気を付けてきたが、袋の底の方に近づくにつれてやはり根が出てきて、最後の数十個はジャガイモ自体がふにゃふにゃになってしまい皮をむくことさえ苦労した。我ながらよく調理したな~としみじみ思う。一度も残すことなく、文句を言うこともなくすべて食べつくしてくれた夫と娘には心から感謝したい。

 話は飛ぶが、実家にいる頃、ジャガイモの皮をむくのはゆうきの役目だった。
「ピーラーで手を切るくらいたいした事ないから・・・・・」
とかなり小さい頃からピーラーを握ってきた。
「ゆうき、ジャガイモの皮むいて~」
夕方になるとお声がかかる。時には一度の20個以上、むいたこともある。時には悴む手に息を吹きかけながら、また時には手を切りながら、ただひたすらとジャガイモをむいていた。一家が消費するジャガイモのほとんどをゆうきがむいていたと言っても過言ではない。たまにめんどくさく思うこともあったけれど、自分の手でむいたジャガイモの味は、そのことを忘れるくらい格別だった。大人になった今、お料理にしんどさを感じることがないのは、小さい頃の経験があったからこそかもしれない。

「煮物は、新じゃがよりも古いジャガイモの方が味がしみこみやすくて美味しい・・・・・・」
母の理論?に従って去年収獲したジャガイモで作る最後のメニューは肉じゃが。ホクホクではないけれど、だいぶ縮んでしまってはいるけれど、お肉や他の野菜と上手く調和していて美味しい。古いジャガイモで作る肉じゃがは、今のこの時期しか食べられない期間限定惣菜と言えるだろう。袋は空っぽ。どんなに名残惜しくとも、もう来年まで味わうことは出来ない・・・・・。
「食べきった~」と言う達成感の中にちょっぴりの寂しさも見え隠れしている

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2010年5月29日

水の音

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 「ふぅーっ」
公園の広い駐車場に車を止めるやいなや、夫は大きく息をつき座席シートを倒した。
「疲れているのね・・・・・・。」
ゆうきも・・・・・・と思ったが遠く聞こえる水音に心引かれ吸い寄せられるかのように車の外に出た。

 ここは、国道沿いにある公園。緑があって季節の花が咲いていてバーベキューが出来る東屋があって滝がある。ゆうきは何度となく足を運んでいる。ある時は親戚一同と共に、またある時は同僚たちと、気の会う仲間たちと訪れたこともあるし同窓会の会場になったこともある。いつも大勢の歓声と一緒だった。滝を背に食べたバーベキューの味は今でも鮮明だ。結婚して子供が生まれて、ずっと足が遠のいていた。訪れたのは17~18年ぶり。一人で足を踏み入れるのはたぶん初めて。平日の昼下がりとあって人っ子一人いない。ここってこんなにうっそうとしていたっけ?野鳥の囀りってこんなに間近だったっけ?頬にあたる滝のしぶきはこんなにも心地好かったんだ・・・・・。公園の入り口にはツツジの木がある。覚えているようで忘れていたこと、一人でないと気付けないことがあることをしみじみと実感した。 忘れていたこと、改めて気付かされたこと、水の音と自然・・・・・それら全てを吸収するかのように大きく息を吸った。

 ずーっとずーっと気になっていた。来たいと思っていた。念願が叶ってよかった。美味しいバーベキューはないけれど、仲間たちの歓声はないけれど、心の中は温かい笑顔でいっぱいになった。

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2010年5月26日

甘くないのなら

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 スーパーでさつま芋の特売をやっていた。一本79円。芋好きのゆうきは飛びついた。
「明日のおやつはさつま芋~。」
気持ちはルンルンだった。
 次の日、娘の帰る時間に合わせてレンジでチンしておいた。さつま芋は娘の好物でもある。
「いただきま~す!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・。」
・・・・・全然甘くない。ゆうき母娘は、顔を見合わせ言葉少なに黙々と芋をかじった。安いからと言って飛びついたのが間違いだった・・・・ゆうきは深く反省した。さつま芋は、まだ4本もある。甘くないのならあの方法・・・・・。ゆうきは即行動に移した。

 さつま芋はゆうきの実家でも栽培していた。ジャガイモほど大量ではないが、それでも時々家族のおやつとするには十分な量だった。キッチンに蒸かしたお芋が置いてあるとすごく嬉しくてわき目もふらず頬張った。蒸かし芋は飽きがこない程度に間隔を開けておやつとしてお目見えした。
 いつの年だっただろう。天候の関係からかさつま芋が不作で、収獲できたさつま芋自体、甘くない年があった。蒸かして置いておいても、みんなほとんど手を付けない・・・・・。苦労をして栽培した祖父に悪いとは思ったがどうしようもなかった。「勿体無い・・・・・」が口癖の祖父も、負い目があるのか何も言わなかった
 甘くないさつま芋の存在を忘れかけた頃、食卓にさつま芋の天ぷらが乗った。たぶん祖母が揚げたのだろう。大きなボールに山盛りいっぱい。
「アハハ、こんなにたくさん誰が食べるの?」
苦笑いしつつ、お腹がすいていたので箸を伸ばした。
「え~、これ美味しいじゃん!」
甘くないさつま芋で作った天ぷらは、お醤油との相性が抜群でご飯のおかずにぴったりだった。同じことを感じたのだろう、家族の箸は天ぷらにばかり伸びた。ボールに山盛りだった天ぷらは瞬く間に消えていった。「こんなにたくさん誰が食べるの?」そう文句を言ったゆうきが一番食べた。おやつになり損ねたさつま芋が夕食のおかずになった。美味しくないと思う食材も調理法を変えれば美味しく頂ける。大嫌いの算数も勉強法を変えればちょっとは好きになるのかな?そう思えた経験だった。

 ゆうきが即効で揚げたさつま芋の天ぷらを、会社帰りの夫は物も言わずに頬張った。彼は好物となると見境がない・・・・・・。このままでは娘の分が無くなってしまう。ゆうきは天ぷらが乗った皿をそっと脇へ寄せた。

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2010年5月24日

お昼に・・・

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 昨日、何故だか突然、焼きおにぎりが食べたくなった。炊飯器の中にはご飯がいっぱいある。お味噌も切らしていない。具材は梅干に鮭フレーク・・・・・・みんな揃っている。作らない手はない。ゆうきはいそいそと立ち上がり台所へ直行。調理を開始した。
 焼きおにぎりには醤油風味もあるが、ゆうきが作る焼きおにぎりは味噌が定番。少量のだし汁(鰹だし)で味噌をのばし、普通に握ったおにぎりの両面に塗る。後はフライパンで焼くだけ。祖母から教わった手順だ。弱火でじっくりと何度もひっくり返しながらおにぎりの芯まで火が通るようにする。やがてキッチンいっぱいに味噌が焼ける香ばしい香りが漂った。
「ねえ、ねえ、今日は何作ってるの?」
香りをかぎ付けた娘がキッチンに飛び込んできた。

 子供の頃、土曜日のお昼って特別だった。学校からお腹をすかせて帰って来ると、必ず何か用意されていて、それがたまらなく嬉しくてお腹にしみた。メニューはその日、家にある食材で作れるもの。焼きおにぎりだったりチャーハンだったり海苔巻きだったり・・・・・・豪華ではないが必ず大人の手が加えてあった。焼きおにぎりは、ゆうきが最も好きなメニューだった。味噌の風味が口いっぱいに広がって、世の中にこんなに美味しい食べ物があるのかと思えた。食べ終える頃にはお腹のそこからパワーが沸いてきた。両親、祖父母みんな忙しいため、土曜のお昼は一人で食べることも多かったが孤独を感じたことなんて一度もなかった。

 世の中で食育が叫ばれるようになって久しい。ゆうきは何も難しく考える必要はないと思う。子供が心身ともに健康に育つ秘けつは、親世代が子供の頃、食べて来た食事にある。自分が親にしてもらったことを我が子にもやってあげればいいのだ。現にゆうきは、昔も今も健康なのだから。

味噌風味の焼きおにぎり、娘に大好評だった。材料費は二人分でも100円かかっていない。作り方も簡単。また、作ろうっと。

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2010年5月22日

道くさ

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 公園を散策していて見つけたぺんぺん草(なずな)。子供の頃、よく遊んだ覚えがある。たまらなく懐かしくなって思わず手を伸ばしかけてやめた。ぺんぺん草があまりにもその場の風景に馴染んでいたから・・・・・。

 「道くさを食ってはいけません。」
よく学校の先生に言われた。が、しかし、帰る道すがら野に咲く可愛らしい花を見つけると手をのばさずにはいられない。ゆうきはそんなタイプの少女だった。ゆうきだけではない。あの頃はほとんどの子がそうだった。野草は格好のおもちゃ。友達に遊び方を教えたり教わったり、よく観察して新たなる発見をして喜んだり・・・・・・・楽しかったな。
 ぺんぺん草もその中の一つ。ハート型の実の部分を切れない程度に下に引きぶらぶらの状態にする。ある程度の実を引き終えたら耳元に持っていて振る。シャラシャラともサラサラともとれる優しい音が心地好くて、「自然の鈴~」と呼んで飽きもせず何度も何度も愛でた。ぺんぺん草が道端に咲く春から初夏にかけて、道草を食わない日なんてほぼ皆無だった。

 ぺんぺん草の花言葉は、”あなたにすべてを任せます”。ぺんぺん草が咲く風景は、実に平和で美しい。花言葉に登場する”あなた”とは自然のことだと思う。

 

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2010年5月19日

白い女の子

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 小学生の頃、友達の家に遊びに言った際、出されるおやつがとても楽しみだった。薄焼き(小麦粉、砂糖、卵、牛乳を合わせフライパンで焼いたもの) 大学芋、草だんご、季節の果物etc. 昭和50年代前半、出されるおやつといったらどこの家も似たり寄ったりだった。が、同じ薄焼きでも同じ大学芋であっても各家庭様々で形も味も自分の家の物とは微妙に違っていて、それを味わうことはなんとも表現しがたいワクワク感があった。

 確か小学校2年生の時だったと思う。当時、ゆうきのクラスメイトにMちゃんと言う女の子がいた。透き通るような白い肌をしていて少し茶色がかった髪をおかっぱにしていて、ゆうきが住む地方の人達とは違ったイントネーションで話す女の子だった。特に美少女と言うわけではないが周りの女の子たちに比べて垢抜けていて、”M”と言う名前自体も今現在、娘世代のクラス名簿に載っても違和感がないくらいオシャレで可愛らしかった。
 ゆうきとは、特別に親しかったわけではない。朝や帰りに顔を合わせれば二言三言、言葉を交わす程度。好きとか嫌いとかいう感情を抱くこともなかった。そんなある日、クラスで学習発表会をすることになった。Mちゃんとゆうきは偶然、同じグループになった。早速、発表の練習をと学校が終わった後、一旦家に帰り、Mちゃんの家に集まることになった。他のクラスメイトは違った雰囲気があるMちゃんの家に行くことは未知なる世界に足を踏み入れるかのようにドキドキした。Mちゃんの家の細かい間取りは覚えていない。だが、その時、出されたおやつは覚えている。マフィンだ。
「ママが作ったんだよ。」
Mちゃんは得意そうに話した。洋菓子をおうちでしかもこんなにふわふわに焼き上げるなんて信じられない・・・・・。Mちゃんのお母さんはすごいな~。ゆうきも大人になったらこんな風なケーキを作れるようになりたい・・・・・・。会ったこともない(その日は家にいなかった)Mちゃんのお母さんに強い憧れを抱いた。Mちゃんともっともっと仲良くなりたかったけれど、ぜひ一度、お母さんに会ってみたかったけれど、Mちゃんはそれからすぐ転校してしまった。

 30年以上もの月日が流れ、あの時願っていた通り、ゆうきは洋菓子系のお菓子を作れるようになった。でも、Mちゃんとはあれから一度も会っていない。Mちゃんは、今どこで誰と何をしているのか・・・・・・。お菓子を焼くたびに、色の白い女の子を見かけるたびにMちゃんを思い出す。

写真は黒糖マフィンです。いつもの生地にきな粉と黒糖を練りこんでみました。和風な感じがして家族に好評でした。

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2010年5月17日

雲を見て・・・

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 今日の午前10時の空。特に変わったところはないけれど、何故か琴線に触れてデジカメに収めた。雲が薄くたなびく空。ぼんやりと眺めるのにはもってこいの空だ。ゆうきは今、疲れているのかもしれない。

 ゆうきは折に触れて空を見上げることにしている。落ち込んでいる時、疲れている時、落ち着かない時、モヤモヤしている時、眠れない夜も。今に始まったことではない。幼い頃からずっと続けてきた習慣だ。一人黙って流れる雲を見つめる。問題解決に繋がるわけではないが心の安定には繋がる。雲が流れるように、イライラやモヤモヤも長く続くわけではない。必ず形を変えやがては消える。現に去年の今頃、抱えていた悩みも今は記憶でしかない。時の流れ、雲の流れ、人の心の流れ、留まることがないことは共通している。今、ゆうきが抱えている問題はこれから先、どのように形を変えていくのだろう。

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2010年5月15日

アルカリ性?

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 「最近、彼が疲れがたまっていて・・・・・・・。」
実家に娘の修学旅行のお土産を届けに行った際、思わず母親に愚痴ってしまった。
「そっか、仕事が大変なんだね。何か体に良い物も食べさせないとね・・・・・と言っても今は持たせてやれるものが何もないし・・・・・・。」
と言いながらも、冷凍庫を探って三陸ワカメを出してくれた。
「アルカリ性食品は体に良いからね。〇〇さんに食べさせてやって。」
特別なものではないけれど、母の思いが嬉しくてありがたく受け取った。

 考えてみたら、ゆうきの父も忙しい人だった。連日、暗くならないと帰ってこない。ゆうきたちを食べさせるために日曜日に土方のバイトに出ていた時期もある。常にお疲れモード全開と言っても過言ではない父に足して、母が一番気を使ったのは食事だ。少ない予算をやりくりして、少しでも体に良いものを食卓に乗せようと心がけていた。ワカメはその代表格だ。焼き魚などの和食の時はもちろん、カレーやシチューのような洋食系のメニューの時も忙しくてスーパーの惣菜ばかりが並ぶ時も、ワカメを戻しポン酢で和えたものをそっと出してくれた。母の仕事は食卓を整えることだけではない。家族が残さずきちんと平らげる姿を見届けることも欠かさなかった。誰かが少しでも偏食をしようものならすかさず
「ほら、ゆうき、ワカメもちゃんと食べて、〇ちゃん(弟のこと)味噌汁飲まなきゃダメ。」
激がとんだ。子供以上に好き嫌いが激しく自分の好きなものばかりに箸を伸ばす父に対しては特に厳しかった。
「お父ちゃん、また好き嫌いして!ちゃんとワカメや野菜も食べないと体、壊しちゃうよ。ゆうきたちが大人になるまでは元気でいてもらわなきゃ困るんだからね。」
毎食のように声をかけ続けた。これが私の使命と言わんばっかりに家族全員が食べ終わるまで決して食卓を立たなかった。ワカメだけが功を奏したとは思えないが、父はゆうきたちが社会に出るまで、特に体を壊すことなく働きづめの生活を続けることが出来た。

余談ではあるが、母とゆうきは特に打ち合わせなくともメニューがよくかぶる。母が五目豆を作ればゆうきも次の日には五目豆を煮る、おでんを作ればゆうきもまた・・・・・と言うように。顔も体型も性格も違うのに不思議だ。(ゆうきは父親似)ゆうきが初めて夫に作った夕食とその日の実家の夕食のメニューが全く同じだったと知った時は二人で大爆笑した。母と共通しているところは他にもある。それはお互いの夫を気遣う言葉。ゆうきも食事に関しては厳しい。ゆうきの夫は父ほど偏食があるわけではないが、何しろ疲れている。夕食をとりながら舟をこぐこともたびたびだ。
「ほら、パパ、ちゃんと食べないと体壊しちゃうよ。頑張って食べて!」
今日も居間にゆうきの声が響く。

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2010年5月12日

娘より

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 夫は仕事、娘は修学旅行、例年になく静かな母の日を過ごしたゆうきの元に、翌日の月曜日、葉書が届いた。修学旅行中の娘からだ。一日目の夜にホテルで書いたらしい。娘が書く字を見るのは久しぶり、娘が綴る文章を読むのはもっと久しぶり。思ってもみなかったサプライズに胸がジーンとした。葉書を指先でなでてついでに匂いをかいだ・・・・・。

「修学旅行の一日目が、無事に終了しようとしています。
新幹線に乗るのも初めてで、広島まで行くのも初めてということで、色々とつかれもあったけれど、貴重な経験ができたと思います。
 原爆ドームや平和記念資料館を見学して、改めて戦争の悲惨さを知り、ショックを受けたけれど、平和であることや命に対する感謝の気持ちを強められた一日でした。」

 本文を暗記するくらい何度も何度も読み返した。嬉しくて今のこの思いを誰かと共有したくて夫にメールした。
 
 原爆ドームを見学するにあたっては、ゆうき夫婦は随分と心配した。ショックを受けその場を動けなくなるのではないか・・・・泣いてしまうのではないか・・・・・うなされてしまうのではないかetc. が、どうやら心配は杞憂だったようだ。娘は娘なりに見たままをしっかりと受け止め今後の人生に生かそうとしている・・・・・。いつの間にこんなに逞しくなったのだろう。いつの間にこんなに大人になったのだろう・・・・・。何度も何度も読み返していくうちに視界がぼやけた。

 葉書一枚で寂しい母の日が一生忘れられないであろう母の日に変った。娘の思いやりに心から感謝したい。

 写真のストラップは娘からのお土産。京都にて購入。家族三人おそろいだそうな。

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2010年5月10日

乙女桜

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 富士桜群生地
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 アップで・・・・・

 先日、久しぶりに、夫の休日と好天気が重なった。ここ数ヶ月、休日といえば雨に祟られ続けてきただけに嬉しかった。一通りの買い物を済ませた後、
「どこかへ行きたい?」
彼が聞いてきた。午後の3時半。時間はあまりない。
「富士桜見に行きたい。」
ゆうきは即答した。遠くへのドライブも良いけれどたまには自分の住む地域をのんびりと巡るのも良いと思う。
 富士桜はわが町のシンボル。4月下旬から5月上旬にかけて富士山麓に生息する。富士桜の分布状況は詳しく知らないが、ここ以外の地域でお目にかかったことはない。ここにしか咲かない花・・・・・ゆうきは密かに思っている。富士山へと続く林道、常緑樹や新緑の間から見え隠れする富士桜には本当に美しい。
「あ~写真撮りたい~。」
「どの木がする?」
「決められない~。だってどれもみんなきれいなんだもん。」
なんて会話を交わしているうちに車は群生地に到着した。花の盛りを少し過ぎた平日、辺りに人影は全くない。静かで穏やかで美しくてそこだけ時間が止まったかのようだった。富士桜を二人締め状態?デジカメを奪い合うようにして写真を撮りまくった。富士桜はソメイヨシノほどの華やかではないが、控えめで楚々とした美しさがある花だと思う。富士桜、別名、乙女桜。恥ずかしげに俯く姿にぴったりの名だ。夕暮れの空に映える姿は幻想的で、今、ここに自身が存在していることが信じられなかった・・・・・。
 今年も富士桜に逢うこと出来た。富士桜を思う存分愛でたことで、ゆうきの心は春から初夏へと移ろった。

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2010年5月 8日

寂しいよ~

Photo  「〇〇~!」
いつものように叫びかけて慌てて呑みこんだ。そうだった。娘は昨日から修学旅行に出かけているんだった。いつになく静かな週末を迎えている。土曜日のこの時間帯をたった一人で過ごすのは何年ぶりだろう。回数だってそれほど多くない。41年間生きてきて10回あるかないか。いつも傍らに誰かがいて常に誰かの声がするにぎやかな週末を過ごしてきただけに妙に居心地が悪い。寂しい・・・・・。寂しすぎて発狂してしまいそうだ。世の中から取り残されてしまっているような錯覚に陥る。我が家ってこんなに広かったっけ?こんなに静かだっけ?娘の存在感の大きさを改めて認識する。
 娘は今頃、同級生たちとワイワイ楽しくやっているんだろうな。体調を崩していないか、ご飯をちゃんと食べれているか、夜はきちんと眠れているのか・・・・・頭に浮かぶのは娘のことばかり。これでは娘に対していつも過保護すぎる夫を笑えない・・・・・。娘が晴れて夢をつかんで巣立った後、ゆうきはどうなってしまうのだろう・・・・・。先が思いやられるとはまさにこのことだ。

「パパとママにもお土産買って来るね。」
出かける前、娘は意気揚々と語っていた。
 お土産なんていらない・・・・・。とにかく元気で無事に帰って来てくれれば。
 娘よ、今、ママが今一番欲しいのはあなたの弾ける笑顔と機関銃のごとくにぎやかなおしゃべりです。

 写真は娘のリュックです。(出かける直前に撮影。)彼女は明日と明後日これを背負って関西方面の寺院を巡ります。

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2010年5月 5日

大好き

Photo  この時期にしか味わえない大好物がある。それは菜の花のお浸し。  初鰹も良いけれど、竹の子の煮物も良いけれど、ゆうきの中で春の味といったら菜の花のお浸しだ。菜の花はゆうきが野菜嫌いを克服するきっかけとなった野菜でもある。 
 今年の春は天候が不安定だった。寒暖の差が激しく桜が満開の時期に雪が降った。霜が降りた朝も例年に比べて多い。野菜たちにとってはあまりにも過酷な気象状況だった。野菜の高騰が連日のように話題となった。今年は菜の花のお浸しを味わえないと半ば諦めていた。諦めていただけに、実家に遊びに行った際、母が大皿いっぱいのお浸しを出してくれた時はわれを忘れて歓声をあげた。父が買って来てくれたこれまた大好物のマグロのお刺身そっちのけで飛びついた。お日様の匂いと菜の花特有の香りが体に浸透していくのかわかる。野菜不足を体が実感していただけに身に沁みた。自分は太陽と土の恵みを頂いている・・・・・。おしゃべりをやめてただそれだけを黙々と食べ続けた。干ばつが続いた大地が水を得たように体中から元気がみなぎってくる思いがした。

 帰り際、母は、フリーザーパックいっぱいに菜の花のお浸しを持たせてくれた。年老いた両親が丹精こめた菜の花。もちろん無農薬だ。厳しい気象状況に打ち勝った勝ち組でもある。この菜の花は高級食材と言えるのかもしれない。心して頂こうと思う。

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2010年5月 3日

リベンジ?

Photo  ゴールデンウィークも半ば。お出かけ日和となった本日、バナナケーキを焼いた。娘と二人きりの部屋に甘い香りが漂った。
 実は、以前、バナナケーキを焼くのに失敗したことがある。きちんと材料の分量を量り、本の通りの手順を踏んだのにもかかわらず生地が型からあふれ出してしまった。どうにかこうにか焼き上げたが色も形も悲惨なものに。とてもじゃないけれど写真に残そうなんて絶対に思えなかった。悲惨な代物は優しい?夫と娘が全て平らげてくれた。
 一度失敗をするとついつい二の足を踏んでしまうのがゆうきの悪い癖?10ヶ月間、ずっとフルーツ入りのお菓子は焼けずにいた。
 本日、5月3日。流通業界に勤務する夫は連休中唯一の休日だったのに、急きょ出勤することになった。お出かけの予定はキャンセル。ゆうきはともかく娘の落胆ははかりしれない・・・・・。が、彼女はそのことに不満一つ漏らさない。いじらしくて健気で可哀そうになった・・・・・ゆうきはゆうきに出来ることをやろうと思った。
 バターにグラニュー糖に卵に小麦粉・・・・・・生地を作る手が前回よりも慎重になった。オーブンレンジに入れ焼きあがるまではドキドキだった。あふれ出ることはないか、焦げてしまわないか、ずっとずっと見守り続けた。
 上手く焼き上げたと言うゆうきの思いと、美味しいケーキが食べたいという娘の願いが天に通じたのであろうか、ケーキはなんとか無事に焼きあがった。
 荒熱をとり、早速切り分ける。見た目的には
「うん、いい感じじゃん。」
感心の味の方は・・・・?
「美味しい~!」
少々親バカかもしれないが、我が娘はこんな時、ほんと可愛い顔をする。
やった~!リベンジ大成功!ゆうきは心の中でVサインをした。お出かけも良いけれど、こんな風に静かにゆっくりと流れていく時間も悪くないなと心から思った。

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2010年5月 1日

光る花

Photo  ずっと気になっていた。毎年、ゴールデンウィーク頃になると原生林を彩る花の存在が。花の名をぜひ知りたいと思っていた。が、生息する原生林は交通量の多い国道に面しているため写真を撮ることさえ出来ずにいた。何とかならないかと思っていた先日、群生地から少し離れた場所に一本だけ生息している木を発見。ようやく念願叶い写真におさめることが出来た。今すぐ家に帰って調べたい・・・・・逸る気持ちを抑えるのに苦労した。
 花の名はミツバツツジ。葉が出る前に花を咲かせる。枝の先に葉を三枚つけることからこの名がついた。一度見て以来ずっと片思いしていた花の名を知ることが出来て心が弾むほど嬉しい。ミツバツツジは自ら光を放つかのように原生林の中、輝く。晴れの日は晴れの日の雨の日はあめに日の夕暮れ時には夕暮れ時の魅力がある。この花に魅了されている人は多いのであろう。群生している区間はみんなスピードを緩める。ゆうきも言葉少なにただただ窓の外を見つめる。見つめていると心の中に灯りが灯ったかのようにほんのりと温かな気持ちになる。花の命は短い。でも心に灯った灯りはいつまでも消えない。

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