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2010年7月 3日

菖蒲のような・・・・・

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 湖の畔(ほとり)に咲く菖蒲を見た瞬間、大切な人のことを思い出しました。

 人を花に譬えることがある。容姿を賞賛して、あるいは尊敬の念を籠めて、プロポーズの意味で使う人もいるかもしれない。状況は人それぞれでも、譬える側が譬えられる人のことを大切に思っていることは変りないと思う。
 菖蒲のような人がいた。今日、湖の畔に忘れ去られたかのように咲く、数輪の菖蒲を見つけて、懐かしさで胸がいっぱいになった・・・・・・・。

 菖蒲のような人と言うのはゆうきの華道の師匠。大正生まれの女性。ゆうきがお花を習っている時(17~18年前)にすでに喜寿を超えていた。その年代に生まれた方々が皆さんそうであるように、先生もまた苦労に苦労を重ねて生きてきた人だった。先生が遠い親戚筋にあたる為、家で先生のこれまでの人生がいかに激動であったかを聞かされることが多かったが、先生自身が自らの半生を悲観する言葉を漏らすことは一度もなかった。可憐と言った時期は過ぎていたが凛としていて、学が高いわけではないけれど聡明で、畑仕事を生きがいとしてきたため痩せていて腰が曲がってはいるが足取りは若い世代に引けを取らなくて、着飾ることをしなくても華がある人だった。これまで出会ってきた誰よりも女性らしく且つ男らしくもあった。”ボロは着てても心は錦”とは先生のことだと感じた。先生はゆうきに、日本の古きよき文化、作法、”道”の大切さを徹底的に叩き込んだ。指導はかなり厳しかったが、愛情にあふれていて、華道の師匠と言う職業に誇りを感じていることがひしひしと伝わってきた。言葉、立ち振る舞い全てに見習うべき点があり、先生と接する度に、言葉を交わす度に大人の女性に近づけるような気がした。

 ずっと、先生の指導を受け続けたかったが、結婚を機にやめることになった。16年前のちょうど今頃の時期、母を伴って先生のお宅に挨拶に出向いた。県外出身の彼と結婚することを伝えると
 「そう、きっと、彼はゆうきちゃんと縁があったんだね。結ばれるべくして結ばれるんだよ。幸せにね。」
と言って顔をくしゃくしゃにした。独身を貫いた先生の言葉は、心に沁みた。
 挨拶を済ませて先生のお宅をあとにする際、目に飛び込んできたのが、菖蒲だった。菖蒲は、盛りを過ぎてはいたけれど、手入れが行き届いていて、梅雨空の空の下しゃんとしていた。鮮やかな紫色をした菖蒲を見て、「あ~、この花は先生のような花だ・・・・・・」と感じた。

 菖蒲を見るたびに、お花を習っていたあの頃が、先生の言葉が走馬灯のように甦る。もうすぐ、もうすぐ先生の命日だ。
「ゆうきちゃん、しゃんとなさい!」
の言葉が菖蒲の花弁から聞こえてくるような気がする。

 

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日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

コメント

 私にも忘れられない人がいます。
従兄弟のお嫁さんなのですが、今の私と同じ年齢のとき、癌で亡くなりました。
ようやく授かった当時3歳の娘を残し…

いつも朗らかで、お盆やお正月に私達家族が本家を訪ねると笑顔で迎えてくれ、美味しい食事でもてなしてくれる、本当に素敵な女性でした。
それだけに、子どもが授からない彼女が子ども心に不憫で…
ようやく子どもが出来たと聞いた時には親戚一同大喜び、高齢出産という事もあり、無事誕生する事を願いました。
それからわずか4年後、突然あまりにも残酷な現実がつきつけられました。

当時3歳だった彼女の娘も、今年20歳を迎えました。社会人となり頑張っているようです。

そういえば、もうすぐ彼女の命日でした。
私にとって彼女は今も目標とする女性です。

投稿: えぐham | 2010年7月 3日 21時07分

いい話ですね。
例えば私達が後世に先生のような
言葉(教え)を残せるのかな?
なんか、人生の苦労さが違い感じる事も
軽いのかな?と思っちゃいます。
菖蒲を見て先生を思い出すことはいい事だと思います。
思い出して親しむ事は仏様の供養になるそうです。

投稿: ぷぅおやじ | 2010年7月 3日 21時17分

お花を習っていたんだー
だからお花に詳しいのね!
忘れられない人…誰でしょう?
でも何かを見るとあの人はどうしているんだろうと思う時がありますね。
素敵な先生の出会い、素敵なご主人様との出会い
ゆうきちゃんにはたくさんのすばらしい出会いがあったんですね。
お互いブログを通しても出会いですがこの出会いも一生の宝物です!

そうそう、合唱ですがもちろん「ソプラノ」ですたよー長女もソプラノです♪

投稿: 千里 | 2010年7月 3日 21時33分

道のつく日本が昔からあるものを
教えてる師匠は
弟子に厳しくもあり、優しくもある。
日本が昔から大切にしてきた
華道、茶道の精神、柔道、剣道の精神を
師匠から弟子へと受け継がれていくんでしょうね^^

投稿: ふぃる | 2010年7月 3日 21時40分

今はなかなかそんな素敵な女性はいませんね。
私と同年代の女性でもスーパーでガムをクチャクチャ言わせて歩いてたり、ほんとがっかりしてしまいます(-_-;)

周りから見て少しでもすてきな女性だと
思われるようにしたいです。

投稿: patapataokan | 2010年7月 3日 21時51分

こんばんは
菖蒲の花で思い出される方素敵な方なのでしょうね。
背筋をしゃんと伸ばして、派手ではないが、上を向いて、存在をきちんと主張している花
一本の花柄から1番2番3番と3つの花が、順番に咲く、まるで次の世代に命をつないでるように見えます。
素敵な日本女性ですよね。
そのような方に指導を受けたゆうきさんも又素敵な日本女性そのもの。

投稿: ねんね | 2010年7月 3日 22時07分

えぐhamさま

えぐhamさんの忘れられい人、従兄弟のお嫁さんはさぞかし無念だったことと思います。

いつも朗らかで笑顔で・・・・・・心がけてもなかなか出来ることではありません。
私も斯くありたいと願うのですがなかなか難しいです。

今頃は、お空の何処かで忘れ形見であるお嬢さんの行く末を見守っているのでしょうか?
彼女の思いは、きっと、お嬢さんの中で、旦那さんの中で、見守ってきた親戚の方々の中で、えぐhamさんの中で生き続けていることと思います。

二十歳を迎えたお嬢さんが、お母様と同じよな朗らかで笑顔あふれる女性に成長しますように。

投稿: ゆうき | 2010年7月 4日 19時50分

ぷぅおやじさま

後世に教えを残せるか・・・・・・かなり難しいと思います。
今の世の中を生きることも苦労の連続ですが、先生の歩んできた人生に比べたら足元にも及びません。

思い出して親しむことが最高の供養であると、菩提樹のお坊様から諭されたことが、あります。
久しぶりに、先生のことを思い出し、心がほんのりと温かくなりました。
お空のどこかから、先生が微笑んでいてくれるような気がします。

投稿: ゆうき | 2010年7月 4日 20時00分

千里さま

もっともっと生け花に親しみたかったのですが、残念ながらたしなむ程度で終わってしまいました。

私の中には、たくさんのあの人は今・・・・・・がいます。みんなみんな元気でいて欲しいな。

先生と出会い、多くの教えを受け、その教えがまた新たなる出会いに結びつき、今の私がいます。
数々の出会い、教え、私にとっては全てが宝物です。
これからもよろしくね、ちーちゃん。


な、な、なんと私の娘もソプラノです。
ゆえに親子でハモる事はありません。

投稿: ゆうき | 2010年7月 4日 20時20分

ふぃるさま

師匠から受けた教えの数々、その全てが今に生かされています。
生け花を習って本当に良かったと心から思います。

”道”の精神、次世代に受け継がれていって欲しいです。

投稿: ゆうき | 2010年7月 4日 20時26分

okanさま

先生は着飾ることをほとんどしなかったのですが、表情、言葉、立ち振る舞い・・・・・・全てに気品が漂っていました。
これまで多くの出会いを経験していますが、先生ほど品がある方は、あまりいないです。


先生の望んでいた通りの、しゃんとした女性になるのが私の目標です。

投稿: ゆうき | 2010年7月 4日 20時34分

ねんねさま

派手さはないけれどしゃんとしていて、可憐と言った時期は通り過ぎていたけれど凛としていて、とっても素晴らしい師匠でした。

日本の古きよき文化を次世代に伝えることに一生懸命だった先生に比べたら、私はまだまだひよっこです。

先生に一歩でも近づけるよう頑張りたいです。

投稿: ゆうき | 2010年7月 4日 20時47分

今の日本女性には菖蒲のような女性って少なくなったように思います。
ピッと心の背筋の伸びた潔い、思慮のある女性。
きっと素敵なお師匠さんだったんでしょうね。

投稿: しま | 2010年7月 5日 00時53分

しまさま

菖蒲のような女性を目指してはいますが、なかなか難しいです。
きっと、まだまだ修行が足りないんでしょうね。


先生は今まで生きてきた中で、一番に尊敬に値する人物です。

投稿: ゆうき | 2010年7月 5日 18時35分

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