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2018年11月 9日

最初の夕食に

 結婚する数日前、密かに購入した本は料理本であった。

 ゆうきは、独身の頃、ほとんど料理をしなかった。
いつも、祖母や母親任せで、ゆうきはもっぱら食べる専門であった。
たまに、お手伝いをしたが、野菜を切るのがせいぜいで、仕上げはいつも祖母もしくは母親であった。
祖母や母親が作るご飯は美味しくて、自分も作れるようになりたいと思ったが、行動に移すことはなかった。
忙しいことを言い訳に。疲れていることを言い訳に。

 新生活を始めた最初の日、
出勤する彼を笑顔で見送りつつ、頭の中は夕食の事で頭がいっぱいであった。
洗濯物を干しながら夕食の事を考えた。
掃除機をかけながら夕食の事を考えた。
カップラーメンで昼食を摂りつつ夕食の事を考えた。
”結婚する数日前、密かに購入した料理本”をペラペラめくった。
ペラペラ、ペラペラ・・・・・当然のことだがどれも美味しそうだ。
さんざん、悩んで考えて迷った結果、南瓜の煮物を作ることにした。

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幸いにも最寄りのスーパーにて、お手頃なお値段で南瓜が手に入った。
買い物から帰ってからは料理本にずっと釘づけだ。
何度も何度も読んだ。読んで読んで読んで読みまくってレシピを頭に叩き込んだ。
そう、ゆうきは煮物ひとつ作れないま嫁いでしまったのだ・・・・・。
南瓜は煮物を作る分しかない・・・・・失敗は許されなかった。
南瓜を切るまでは何とかなった。
問題はここから・・・・・・
鍋に南瓜を入れ浸るくらいのお水を入れ、お砂糖とお醤油も入れて、火にかけた。
これでよかったのだろうか、無事に出来上がるのだろうか・・・・・料理本にある写真と目の前にある鍋の中身を、何度も何度も見比べた・・・・・。
落ち着かなかった。心臓がバクバクした。
どのくらい時間が経っただろう・・・・・やがて、キッチンに甘い香りが漂い始めた。
ホッとした。心底ホッとした。ホッとしすぎて力が抜けた・・・・・。

 南瓜を見るたびにあの日あの時のことが蘇る。
生まれて初めて作った煮物は、案外、美味しかった。
彼も美味しいって言ってくれて、最高に幸せな気持ちになった。

 結婚する数日前、密かに購入した料理本は今も手元にある。
だいぶ古びてしまったが・・・・・・。
あまり必要としなくなったが、これから先も手放すつもりはない。

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日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

コメント

いい思い出ですね。
人の為に行動するのは脳が活性化され
体も動かしていい事だらけ。
ゆうきさんは努力家で家庭的なんですね。
私も料理が好きですが
病気で味覚がズレてしまって味がよく分からなくなってしまってる・・・
応援!

投稿: せいパパ | 2018年11月10日 07時39分

私は母が手伝わせてくれなかったので
結婚が決まってから週に1回は私が夕食を作ると
宣言して半年ほど修業しました。

それも今となってはいい思い出です。
ゆうきさんの思い出も素敵です。
これマラカボチャの煮物を
見るたびにゆうきさんのことを思い出しそうです。

投稿: patapataokan | 2018年11月10日 16時21分

新婚時代の夕食か~
それは私のあこがれですね
私にはそうようなドキドキする楽しみは一切なかったので羨ましいとしか言えないな~
何を作ろうかなとかどこに行こうかとかきっと新婚時代にしか味わえない気持ちってたくさんあったんだろうね~

もともと料理は好きでしたのであまりドキドキしないでお料理をさせてもらいました。でも私が作ってもそのあとに義理の父がこれは食べないとか味付けがあれこれうるさかったので別の料理が必ず作られていてすっごく辛かったな・・・
でもそんな時、彼は「千里の作る料理はおいしい」と言って食べてくれた彼。その言葉に救われました。

27年経っても夕食を楽しみに帰宅してくる彼のためにせっせと夕食準備をがんばっています
また長女夫婦も私の料理を楽しみに遊びに来てくれます
長男も年に数日しか食べられないけど「これを食べたい!」と帰省前にリクエストしてくれるのがうれしいです。

料理は自分のためではなく大切な人のためにするんだなとこの年になって気づきました。

投稿: 千里 | 2018年11月10日 18時20分

せいパパさま

 結婚して、ようやく理解しました。
料理って、案外頭を使うということを。
素材の切り方でも味が違ってきます。
ちょっとした工夫で、見た目が良くなります。
失敗することも度々。
20年余りが経った今も、日々、勉強です。
久々に、何か新しい料理に挑戦しようかな~って思っています。

投稿: ゆうき | 2018年11月11日 14時11分

okanさま

 インターネットがなかった時代、料理の本には大いに助けられました。
料理をする前に開き、料理をしている最中も開き・・・・・おかげで料理の本はベタベタしています。

 同じ日に実家の母も南瓜の煮物を作っていました。
あとで知って、母娘で大いに笑いました。

投稿: ゆうき | 2018年11月11日 14時25分

千里さま

 新婚生活は、2DKのアパートからスタートしました。
義理の両親及び兄弟とは離れて暮らしていたので、あれこれ言う人はいません。
結構、好き勝手させてもらいました。

 実家の母は父の両親と同居だったので、かなり苦労したみたい。
「ゆうきは、いいな~。」
と羨ましがられました。

 料理は自分のためでなく大切な人のためにする・・・・・・大いに同感です。
主人と娘がいるから、毎日、眠かろうが少々具合が悪かろうがキッチンに立ちます。
娘が進学で家を離れた時は、娘の好物をよく持っていったっけ・・・・・今となってはいい思い出です。

 次に長男さんが帰省した時、何を作るのかしら?
リクエストが楽しみですね。

投稿: ゆうき | 2018年11月11日 14時39分

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