1年経過

　1年前の今日、
ゆうきは、喉のイガイガに見舞われていた。
咳が出る。
頭が痛い。
辛いことは辛いが、自分のことよりも彼や娘のことが気がかりだった。
彼は、前の晩から高熱が出ていた。
悪寒がして食欲もなくて、ゆうきよりもずっとずっと辛そうだった。
娘も、明らかに顔色が悪く、吐き気がすると言っていた。

　午前9時になるのを待って、かかりつけ医で受診した。
予め、電話をしておいた。
待ち時間は車の中、診察の時のみ、診察室に入った。
彼は、コロナに感染していた。
いちばんの濃厚接触者であるゆうきもコロナに感染していた。
娘が感染するのも時間の問題？
要観察となった。

　医院から直帰した。
家に着いた途端、高熱と頭痛と吐き気が押し寄せた。
3人、それぞれに、リビングに倒れ込んだ。
同日夜、娘も抗原キットにて感染が確認された。

　まさかの感染だ。
恐れていた火の粉がついに飛んできた。



　2類から5類に移項してからの感染だ。
だが、しかし、辛かった。
風邪を引いたときより数倍辛かった。
今まで生きてきた中でいちばん具合が悪かった。

　発熱は何年ぶりだろう。
彼にしても娘にしても滅多に熱を出さない・・・・・
「また熱が上がった」
「誰々の方が一分高い・・・・・」
「誰の方が重症だ・・・・・」
彼と娘とゆうき、3人でくだらない争いをした。

　3人とも食欲がなくて・・・・・
スポーツドリンクが命綱だった。

　5日間一歩も外に出なかった。
本を読んだりネットをしたりテレビを見たり眠ったり・・・・・・
とりとめもないことを考えたり・・・・・
ブログが唯一の社会とのつながりだった。

　さすがに人恋しくなった。

　普通に働けること
普通に外出できること
普通に人と交流できることが
いかに有り難いか・・・・・・

　嫌と言うほど認識した。

　引きこもり期間は5日間。
暑く熱く痛く苦しく退屈な5日間だった。

　先日、彼がふとつぶやいた。
「1年経ったんだな～・・・・・。」
彼も同じ事を感じていた模様。
夫婦して苦笑いだ。

　思い出にはなっていない。
良い教訓になった。